賃貸物件のヤバい配管。これもきっとギャグです、とっとと直しましょう

 

 

こんにちは!

バレエスタジオマイスターの大塚健太郎です。

前回のブログに続きまたまたスタジオを探している先生たちには夢の無い話ですが

賃貸物件って見えないところに何かしらかの不具合があるものですパート2

今回は設備配管のとんでも事例です

  

 

1.あわや下階に漏水事故⁉レッスンが出来なくなっちゃう

 

 

S造テナントビルの3階でバレエスタジオを運営されているK先生の依頼は浴室の有効利用。

その浴室は物入れくらいしか使い道がなく、

さらに更衣室の奥にあるので使い勝手も悪い。

 

そう、ここはもともと住宅仕様の物件

更衣室は洗面脱衣室で
アクティングエリアは和室だったそうです。

「浴室を壊してシャワーユニットを付けたい」

「残りのスペースを事務室として活用したい」

そうした希望を実現するために、

更衣室からの入口は壁で塞ぎ、一方でアクティングエリア側の壁に穴を開け扉の新設をすることになりました。

 

工事に当たっては大した不安はありません

だって全く使っていないお風呂ですけど、

給水管も給湯管も、排水管もあるからそれを引き回すだけです。

 

「シャワーユニットを設置するのはそう難しくはないな…」

と簡単に考えていました・・・が

いや~甘かったぁ

正直なめてました、ごめんなさい。

 

物置として荷物が沢山あったので「まあ、いいか」と十分に現地調査をしませんでした。

 

おいおい、何がイエコエ建築士だ!
仰る通りです、ほんと面目無い。

今回ばかりは「家の声(イエコエ)」が聞こえなかったようです


僕はその報いを工事の初日に受ける事になります…

 

設備のMさんとパワフルな手元のTさんと3人で荷物をどかし、

解体の手始めにバスタブにレシプロソーを当てると

カンカンカン…ノコ刃が弾かれます

 

えっ?樹脂浴槽じゃない?

通常、在来工法のお風呂ならバスタブはアクリルなどの樹脂製です。
なのに、レシプロソーで切れない…

 

「大塚さん、これホーローじゃない?」

困ったという顔でMさんがこっちを向きます

「そうねぇ、ホーロー(鋳鉄)だねぇ。バスタブを先に取っちゃえば簡単だったんだけどなぁ」

 

ブロックを積んでタイルを張ったエプロン部分は、それはそれは頑丈です。

外側から大ハンマーで叩いても簡単には壊れてくれません。
でももしバスタブをスポッと取り外せたら、ハンマーで簡単に割崩せます。

それを狙っていたんですけどねぇ…

「しょ~うがない、やるか!」

大ハンマーを高々と上げ、大谷翔平君のスイングのように鋭く振り下ろします
ゴンッ!
ゴンッ‼
僕が大ハンマーを振り上げるタイミングでTさんはバールで崩れたブロックを取り除きます。

その姿は息の合った餅つきのよう…

 

ハンマーの音とバールの音が狭い浴室に響き、耳の奥がモワ~ンとしてきます。
シー…

ん?

シー…
「Mさん、何か変な音しない?」

「いや、何も聞こえないですけど」

「なんかさ、水が漏れてんじゃない?この音」


ちょっと怖くてこれ以上大ハンマーは使えません。

小さな手ハンマーと手ノミに持ち替えました。

給水配管がありそうな場所に向けて

ブロックとモルタルを少しづつ斫って、

犬が穴を掘るような格好で、Tさんが柄を手前に掻き出します。


シーシー…
音はだんだん大きくなり、周囲の砂も湿った色に変わってきました

「Mさん、元栓閉めてきて!」

 

やがて濡れ色の砂の中から現れた給水配管は錆びでボロボロ

3分の1くらいの細さになっていました…
解体の振動がきっかけで、水が漏れ始めたんでしょうね。

でも、ここまで錆びていたら、遅かれ早かれ漏水事故は発生します。

K先生、ある意味強運の持ち主!

もし、物置のリフォームをしようと思わなかったら

ある日突然、下階に水が漏れだし、その原因究明に大騒ぎになっていました。
レッスンが出来ない状況にもなったでしょうね。
ほんと運が良かった。

何よりイエコエ建築士のオーツカに工事を依頼して良かったですね。

この後、怪しい配管は全て新しいものに更新して

無事にシャワーユニットを設置しました。

めでたし、めでたし…


 

 

2.あわや漏水事故!給水設備あるって言いましたよね?

 

 

A先生が探してきたのはS造の2階でスケルトン状態の物件。
大きな窓からはこれでもかと明かりが差し込み

何よりも高い天井が魅力でした。

 

欠点はと言うと
屋根が折板葺きで、夏は相当暑くなることが想像できます。

これはもうエアコンをガンガン運転する事で解消しましょう

電気代がもったいないかもしれませんが

建築的に断熱対策をしたら、電気代どころではないコストが掛かりますから。

 

そんな物件の設備状況は不動産屋によると

「もともと1階テナントの寮として2階は使われていました。

現在スケルトンではありますが、トイレや手洗いを設置する事が出来ます」

 

なるほど、それなら心配ないな…

と僕はうかつにもその話を信じ込んでしまいました。

 

でも
何かが引っかかります…

(ここを見て)

ん?

(ここをよく見て…)
おぉ~、これは家の声か
確かにコンクリートの床が真っ平らだ!
設備の配管が立ち上がっている様子が無いぞ

 

もう一度よく見る為に物件の隅の方に向かいます

住宅でない限り、トイレや洗面は部屋の中央にはありません。
そして端の方に異常なものが目に飛び込んできました

 

「なんじゃぁ、こりゃ~」(松田優作っぽく)

 

床面でバッサリ斬られた75φの排水配管でした。
「普通、立ち上げておくだろう~」

どんな解体業者が壊したんでしょうか?有り得ない状況です。

 

「待てよ…給水配管はどこ?」

排水管から少し離れたところには直径10cmくらいのモルタルで穴を埋めた跡があるだけです。
まさかねぇ…
疑いながらも、そのモルタルをマイナスドライバーとハンマーで

コツコツ、コツコツ慎重に斫ります。
やがて、モルタルの中からビニール管が顔をのぞかせました

 

「おいマジかよ⁉」

給水配管を埋め込むなんてどこのどいつがするんだよ

100歩譲って、

床下で切断しなきゃいけない事情があっても、モルタルで埋める事ねーだろ?

 

そしてもう一度「なんじゃーこりゃ~⁉」

 

給水管の先端にキャップが無いじゃないですか
切りっぱなし…というか解体の途中で割っちゃた配管をそのまま埋めた感じです

 

「あぶね~、先に給水バルブ開いていたら下階が水浸しだったぜ💦」

そんな漏水事故は願い下げです

 

水漏れを事前に防げても、まだまだ安心できません。
ちゃんと接続するためには、あと5cmは掘り下げないといけません。

でもこの配管、もし1階の天井裏でしっかり固定されていなかったら

斫った途端、床下に落ち込んでしまうかもしれません。

そうなったら、1階テナントの天井を壊して配管し直さないといけません。
テナントの理解と協力が得られるのか…?

それからのモルタル斫りは、ホントにビクビクしながら進めました。

 

脱落しないようにプライヤーで配管の先端をつかみながら斫ります。

案の定、モルタルが無くなった配管はぐらぐらで左手を緩めたら下階の天井裏に落ちていきそうです。

もう、プライヤーを握る手を離すことはできません。

その状態で50cmに切った新しい配管とソケットにボンドを塗り

右手でくるっとひっくり返して折れた配管に差し込みます。
その姿は、条件の悪い離島で血管縫合術をするDr.コトー先生のよう…

プライヤ―を持つ左手と配管を持つ右手にグーっと力を入れ
ボンドが固まるのをじっと待ちます。
たった30秒がずいぶん長く感じられました。

「あ~ここまで来れば安心だ」

 プライヤーの手を緩めると配管はすとんと30㎝下がりました。
やっぱり天井裏で適切に支持されていなかったようです。
でも今は20㎝配管が床の上に伸びているので安心です。
改めて設備のMさんを呼べば問題なく配管が出来ます。

とんでもない物件でした。
管理不動産の人、現地見てなかったんですかね?

困ったもんです。

現場経験の少ない監督さんが、普通にリフォーム工事を始めていたら

下階に漏水事故を起こしてい方もしれません。

A先生ほんとイエコエ建築士のオーツカにスタジオリフォームを依頼して良かったですね。

めでたし、めでたし

 

 

 

3.ガス漏れ疑惑!東京ガス緊急出動で現場は騒然

 

 

M先生のご相談はRC雑居ビルの地下1階にスタジオをオープンしたいとの事

すでに元テナントの原状回復は終わっていて、スケルトン状態の室内は真っ暗でした。

バッテリー型の投光器を持ち込みましたが

室内の雰囲気が分かる程度で、奥の方はうす暗いままです。

そんな状態での物件内見でしたが結果としては好印象。

地下物件とは言え、3面に渡って排煙窓が設置されていて

そこからいい感じの明かりが入ってきそうです。
また、お隣のテナントとは仲がいいそうで、ダンスの音が漏れても「ぜんぜんOK」という関係。

ふたつぶら下がっている分電盤は、以前2つに分けてテナントが使っていた名残のようで

ダンススタジオであれば、これは一つ使えば間に合いそうです。
ガスメーターもふたつあって

そのうち一つは鏡を貼る面に会ってとても邪魔です。

「給湯器とかいらないので、ガスは契約しません」

「ならM先生、メーター撤去しましょう。将来原状回復の時に復旧す出来るから大丈夫。
将来復旧に2万円ほど掛かりますけど、快適にレッスン出来た方がいいですよね」

 

そうして2か月後、スタジオリフォームが無事にスタートしました…が

事件は初日に起こります…

「リフォーム工事に伴って、ガスメーターの撤去を依頼したいんですが…」

「はい、物件のご住所と希望の日にち、お支払いはどなたがされるのかを教えてください…」

いつものように東京ガスに電話を入れ、いつものようなやり取りを交わします。

問題はここからで

 

「スケルトンで解体済なんですけど、メーター以降の2次側の配管が切断されちゃってるんですよね」
「えっ?切断されてるんですか」

「はい、撤去するメーターは問題ないですけどね。

もうひとつのメーターは残すので、切断された配管をきちんとプラグ留めしてください」

「少々お待ちください、緊急対応の部署に回しますので…」

ん?緊急対応?

 

「お待たせしました、緊急対応の〇〇です。これから伺いますがどなたか現場にいらっしゃいますか?」

「え?緊急って…もう移動しちゃって誰もいませんよ」
「キーケースに鍵があるとか、入室する方法はありますか?」

 

なんかとんでもない雰囲気になってきました。

「いや、鍵をもらえるのは明日以降だから入れませんよ

まあ、管理不動産の会社に連絡すれば鍵を開けてもらえるかもしれませんが…
ちょっと待ってください」

僕がためらったのは『お金』の問題
ガス会社の緊急対応って滅茶苦茶高いんです。

 

普通に頼めば15,000円で済む配管工事を40,000円取られた経験があります。
まあ、その時は解体工の若い職人がキッチンのガス管をポキッて折っちゃったんです。

いずれ解体が終わったら、東京ガスに配管撤去を依頼するつもりでしたが

床下のどこかでガス漏れでもあったらシャレになりません。

なので緊急対応でガス屋さんに来てもらったんです。

でも今回は状況が違います

「いや、緊急じゃないですから。
この物件はスケルトン状態で、2か月前に解体した時から今の状態ですよ。
今まで問題なかったでしょ?
配管が切られてても、今さらガス漏れなんて無いですよ」

「ですが、社内のルールで緊急対応になるんです。」

 

そんなルールって言われても…

「僕はそんなの望んでませんよ。ていうか、2か月前に慌ててなきゃいけない事例でしょ?
どうしても来るっていうんなら止めませんけど、僕はお金払いませんよ。
解体を依頼したビルオーナーか管理不動産会社に請求してください!」

ここまで訴えてようやく〇〇さんも黙り込みます。
「こういうのはどうです?僕が管理不動産に状況を伝えます。

管理不動産がオーナーに事態の深刻さを伝え、改めて東京ガスに緊急対応を依頼する…」

これなら東京ガスの面子も立ちますし、僕も余計なお金を払わなくて済みます。
それはつまりM先生が必要のない出費をしなくていい…という事です。

全力で東京ガスの緊急対応を待ってもらわなければ!

「まあ、そういう事でしたら…」

よしっ!

続いて電話をした管理不動産の担当者は実に話の分かる方で

「私の方からオーナーに話します。東京ガスに連絡してもらうように伝えます」


「ありがとうございます。東京ガスには2日後に対応できるように仮予約を入れていますので、すぐに連絡してください」

「わたりました。実は私どももこちらの物件は昨年12月から管理契約し始めたばかりで、まだ色々と行き届いていないところが多いんです…」

 なるほど、だから親身に対応してくれるのね

 

で、2日後無事に緊急対応チームが現場に来て配管のプラグ留めとメーター撤去が完了しました。

もちろん費用負担はオーナー様です


M先生、ほんとイエコエ建築士の大塚にスタジオリフォームを依頼して良かったですね。

めでたし、めでたし


が、これで終わりではありませんでした

 

工事中、玄関横の壁に落ちているクリアファイル…

特に邪魔ではないのでそのまま放置していましたが何か気になります。

(僕を拾って、中を見て…)
声をかけられているようで仕方ありません。

 

イエコエ建築士として、そのままスルーは出来ません。

 

手に取ってみると、それは道路使用許可でした
解体工事の時に警察に申請したものでしょうね。

工事期間は12月末と記載されていました

 

ん?

確か管理不動産の方はこう言っていたよな


(昨年12月から管理契約し始めたばかりで…)

 

いい人そうな感じだったのに・・・

闇だわ~

 

 

 

 

4.オマケのとんでも配管

 

 

オマケは住宅リフォームの事例です。
相続した物件は数年間誰も住んでいなかったそうです。

スケルトン解体を始めて、台所から現れたのがこのとんでもない配管

いやぁ、よくガス漏れしませんでしたよね。

いやむしろ、誰か途中で何とかしなくちゃ!と思わなかったかなぁ…

う~む、建築は奥が深い!
管理する人がしっかり目を光らせなくてはいけませんね

以上おまけでした

とんでも事例は次回に続く…

 

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