こんにちは!
バレエスタジオマイスターの大塚健太郎です。
これから自分のスタジオをオープンしたいと夢を膨らませている先生たちには夢の無い話ですが
賃貸物件って見えないところに何かしらかの不具合があるものです。
契約前に現地で行う内覧も大事ですが、
壁や天井を壊して中をチェックするわけではないので、
賃貸契約後に不具合が発見されるケースは避けようがありません。
不具合を見つけるたびに
「何で職人さんこんな仕事したんだろ?」とか
「監督さん、見てなかったのかな?」とか
僕は同業者としていらだちを感じます。
でも、今さら犯人を追及してもどうにもなりません。
このおかしな納まりはギャグだ…
と笑い飛ばして、とっとと直してしまうに限ります。
そんなスタジオリフォームで遭遇した「とんでも事例」をご紹介します。
今回は音漏れに関する事例です
1.音漏れテストでは気が付かなかった「天井裏でお隣と筒抜け」状態
RC造テナントビルの3階にある物件の内見に立ち会ってほしいと、
地元でお教室をされているK先生から相談を受けました。
下階は学習塾、お隣は事務所なので防振床テストと防音テストの準備もしていきました。
いつものように畳1枚サイズの現物防振床を3種類並べて、
僕は下階で仲介不動産の営業マンと塾の先生と天井を見上げて耳を澄まします。
「じゃあ何も置いていないそのままの床で5回ジャンプしてください」
「次はAの床で5回ジャンプ」
「Cの床が終わったら、またAに行ってください」
上階でスタンバっているK先生に次々と電話で指示を伝えます。
一通り飛んだら
「今度は綺麗なジャンプじゃなくて、踵から着地する汚いジャンプをお願いします」
色んな状況で80回ほどジャンプしていただいたあと、塾の先生に顔を向けると
「このくらいの音なら気になりませんね」
よっしゃー‼防振テストは良好
次は3階の音漏れテストです。
そもそも物件を囲む形で廊下があるので、多少廊下に音が漏れても大丈夫な環境です。
JBLのBluetoothスピーカーにスマホをペアリングして、
K先生がいつも使っているレッスン曲を普段よりも大きな音で再生するようにお願いしました。
受付業務がメインのお隣のテナントでは、4名のスタッフさんが電話対応に追われていました。
そのうちの一人と僕と不動産さんで入り口のドアをにらんで聞き耳を立てます。
「全然大丈夫ですよ」
スタッフさんのストレートな感想に気を良くしたものの、
僕の目はドアの上に釘付けになりました。
「このグリルは何だ?」
まるで、全館空調の吹き出し口のようなグリルがそこにありました。
一度廊下に出て他の賃室を見渡すと
確かにこのビルのレイアウトはちょっと変わっています。
分電盤は階段に近い廊下にまとまっているし
トイレと給湯室も共用です。
「もしかして3階はもともと1テナントで使っていたのかな?」
そんな疑問を抱きつつもその日の防振テストを終え、2か月後にはリフォーム工事が始まりました。
問題が発覚したのは着工して1週間たった頃
解体の予定になかった下がり天井を、欄間の空間確保のために急遽かさ上げする事になりました。
下がり壁のボードを剥がすと暗い天井裏から明かりが漏れてきます
いや、明かりばかりか
「こんにちは〇〇です。いつもお世話になっております…」
「〇〇は外出しておりまして、折り返しこちらから…」
え~!電話対応の声が丸聞こえじゃないですか💦
そう、天井裏には全館空調のダクトが残っていました。
明かりの先は音漏れテストで入室したお隣のテナントのグリルが見えました。
「これ、塞いでないじゃん!」
ダクトの中に頭を突っ込むと、お隣だけでなく、その向こうのテナントにもつながっています。
でもその先の廊下でダクトは行き止まり。
「空調機を撤去したならダクトも処分しておけよ~」
全館空調の設備はすでに無いので、このダクトは無用の長物
今や各テナントの会話を伝えるただの「伝声管」です。
「40秒で支度しな!」
天空の城ラピュタで女船長ドーラが指示を飛ばしていたあれです
いやーホント危ないところでした。
下がり天井のかさ上げが無かったら気が付きませんでした。
普通にレッスンの音がダクトを伝ってお隣に漏れるところでした。ヒュ~
この後ダクト内に吸音マットを充填し、スタジオ側の開口部は不燃ボードで塞いで
無事に防音処置が出来ました。
K先生、ほんとイエコエ建築士のオーツカにスタジオリフォームを依頼して良かったですね。
めでたしめでたし。
あ、「イエコエ建築士」とは「家の声に耳を傾ける建築士」の略で
バレエスタジオマイスター大塚健太郎のふたつ名です、エへへ
僕は不具合とか異常を察知する勘が働くようです。
家(ビル)の悲鳴が聞こえるのでイエコエです。
2.防音は問題ないです詐欺⁉
1~3階が店舗とオフィス、4階から上が住宅の駅近マンション。
その2階ある元カラオケスナックの物件を賃貸契約したF先生。
「お隣は会計事務所だけど、もともとカラオケスナックだし
防音もされているから問題ないと言われてます」
それを聞いて僕もすっかり安心して、この物件では音漏れテストはしませんでした。
廃業したスナックそのままの居抜き状態からの工事で
解体工事は物件のオーナーからの依頼、
でスタジオリフォームはF先生からの依頼という
ちょっと変わった工事契約でスタートしました。
テーブルや椅子こそ撤去されていたものの、それ以外の什器は全て残置。
ステンレスの調理台やグリル、大きな換気扇フードや
厨房の床下のモルタルやブロックを壊す結構なボリュームでした。
「まあでも、解体が終われば防音壁は出来ているっていうから、後は楽だな…」
ホールの椅子なくなった壁のボードを両手でつかみベリっと剥がすと
中から黒いメッシュが貼られたよく見るアレが出て来ました
遮音シートです。
「そうそう、で、これをめくると…ん?ブロック?」
えっ?、中がスカスカじゃん
ブロックも隙間だらけで音が漏れモレ!
「参ったなぁ~、完全に騙された」
このまま、リフォームを完成させたら後からクレームが来るのは必至!
むしろなんで今まで苦情が来なかったんだろ?
スナックと会計事務所で営業時間が違ったからセーフだったのかな?
きっとそうだ
なら、このままでもクレームにならないかも…
いやいや、将来お隣のテナントが変わったら苦情が来るかもしれないぞ
いずれにせよ、見ちゃったものを見なかった事には出来ません。
ぐすん😢
やるしかないですよね
なんか今回もイエコエ建築士にビルの悲鳴が聞こえちゃったようです。
結局、新しい壁を10㎝ふかして防音壁を作りました。
めでたしめでたし
F先生、ほんとイエコエ建築士にスタジオリフォームを依頼して良かったですね。
とんでも事例は次回に続く…
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お近くの方は永代ショールームまでお越しください。
バレエスタジオマイスターの大塚健太郎がしっかりお話しをうかがいます。